世の中には様々なタイプの塾がありますが、最難関指導がメインの教室ほど拘束時間が長く、勉強の仕方を徹底管理される傾向にあります。
一方、最近ではPDCAサイクルを活用するなど、子どもが自主的に考えることを大事にした教室も増えています。もちろんこのような方針の教室から最難関レベルに到達する生徒だっています。
どちらの進め方が受験勉強に有効なのか、考えるうえで参考になるのが、心理学者ペーター・ゴルヴィツァーの実験です。
大学生にクリスマス休暇をどう過ごしたかのレポート課題を出したところ、
ただ課題を出した場合の提出率は32%だったのに対し、
事前に課題作成のスケジュールを決めさせていた場合の提出率は71%でした。
この実験では、事前にいつ課題に取り組むのか、スケジュールを決めておくことで提出率が倍以上になっています。
仮に課題の提出率100%を目指すのであれば、授業時間中に目の前で作成させるのが確実です。
ただし、学習環境によっては常にそれが出来るとは限りません。
つまり、学習内容を徹底的に管理できる環境があるのであれば指導者が決めたスケジュールの通りに学習させていく方が高い効果を得られる可能性が高いのですが、自主的に取り組ませなければならないのであればスケジュールを自分で決めさせることが有効かもしれません。
一般的な個別指導塾の場合は、どうしても授業料が高額になりがちなので、塾での授業時間が(学校・家庭学習・塾を含めた)合計学習時間の2割以下にしかならないことが多いです。塾での授業時間がたったの2割なのだから、いかに家庭学習をやらせるかの工夫が成績アップに不可欠となります。その手法の一つが「自分で」スケジュールを決めさせることです。
もちろん、授業時間の長い塾であっても宿題や家庭学習の時間はあるでしょうから、保護者の方がつきっきりで管理できる場合を除き、自分でスケジュールを決めさせることは有効かもしれません。
スケジュール作成の際の注意点は以下の通りです。
・今日の予定は前日までに決めておくこと
・大人(親・指導者)はアドバイスや誘導はするものの最後には子どもに決めさせること
・予定どおりにできた時は課題を追加しないこと
(子どもが自主的にやるならOK)
・予定通りにできなくても叱らないこと
・できなかったことは翌日以降のスケジュールで調整する
実験結果をみると、
大学生であっても3割ほどはスケジュール通りに行動できません。
受験生の皆さんのスケジュール達成率はさらに低いと考えられますので、出来ないからと言って叱ってはいけません。出来ないからと叱られるとスケジュールを立てることに対してネガティブな気持ちになり、余計に行き当たりばったりに学習してしまう可能性があります。
ただし注意して欲しいこととして、自分でスケジュールを立てることは良いことですが、
スケジュールを立てることで学習効果がでるとは限らないということです。実験でも効果の出た人と、出なかった人がいます。
先ほどの実験結果について違う見方をすると…
・32%の人はスケジュールを立てなくてもできる→むしろスケジュールを立てる時間はムダかも?
・39%の人はスケジュールを立てたことで提出できた⇒約4割の人には学習効果があった!
・29%の人はスケジュールを立てても効果が無かった→この場合もスケジュールを立てる時間がムダかも?
学校や塾などであれば、スケジュールを立てさせることによって結果として提出率が32%→71%となれば大成功です。クラス全体として学力の上がる生徒が多い方が評価が上がります。スケジュールを立てなくても出来る32%の人に無駄な作業をさせたかもしれないということも、たぶん問題になりません。
しかし個々人の学習効果としてみれば、61%(32%+29%)の人に意味のない作業をやらせている可能性があります。そうは言っても実験では約4割(39%)の人には効果がでているので試してみる価値はあります。特に家庭学習の時間が長い人は、一度試してみてはいかがでしょうか。
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