「毎日あれだけ勉強しているのに、どうして点数が伸びないのだろう?」
そんな悩みを抱えたときは、筋力トレーニングの世界を思い浮かべてください。筋トレ初心者が10 kgのダンベルだけで二の腕を追い込むと、最初は確かに筋肉痛が起こり、脂肪が燃焼し、筋力も向上するでしょう。ところが数週間も続けると同じ重さでは刺激が足りず、筋肉はそれに慣れてしまいます。結果として、鍛えているはずなのに見た目も数値も変わらなくなってしまいます。
勉強にもまったく同じ現象が起こります。
たとえばすでに十分に理解できている基礎的な問題ばかりをひたすら解き、安心を得ようとする人がいます。得意科目にばかり学習時間が偏ってしまう人もいます。本来であれば苦手科目にこそ時間をかけて取り組むべきです。ところが学習量ではなく学習時間を基準に科目ごとの学習時間を割り振っている人が多いのです。同じ時間なら得意科目の方が学習が進むため、一見均等に割り振っているように見えても結果として苦手科目は手薄になりがちです。
すでにできていることや、得意なことばかりに取り組む学習は、いわば
軽すぎるダンベルです。もちろん、すでに理解できている問題をより速く解く練習には意味があるものの、そればかりを繰り返していては脳が新しい刺激を受け取らず、得点という筋肉も大きくなりません。
負荷不足にはいくつかの典型的なパターンがあります。
難しそうな問題を直感的に避けてしまう「難問回避型」、インプットに偏り演習量が極端に少ない「読み物中心型」、一夜漬けのように負荷の波が大きく続かない「断続型」などです。いずれも共通しているのは、脳に適切な重量がかかっておらず、成長刺激が弱いことにあります。
ではどうすればよいのでしょうか。筋トレでは、慣れを感じた段階で15kg、20kgと段階的に重さを上げるのが基本原則です。学習もこれにならい、たとえば中学2年生の連立方程式で、計算問題をマスターできたら文章題などの応用問題に進む。いくら解説を読んでも一次関数を理解できないのであれば中学1年生の比例・反比例の復習をするなど、部分的に“重さ”を調整しながら解き直すことも必要です。さらに、同じ問題に制限時間を設けて再挑戦すれば、処理速度という別の筋肉も鍛えられます。
負荷を上げ続けるだけではオーバーワークになってしまいます。筋トレに「超回復」が欠かせないように、勉強でも定期的な復習が必要です。基礎基本の徹底は何より大切なことです。ですが、たとえば定期テストの勉強で難しい問題を避け、解きやすい問題ばかりを繰り返していては非効率な努力に終わってしまいます。出題範囲の問題をすべて解けるようにしなければ高得点を取ることができません。
成績が低迷する原因は「時間不足」だけではありません。たくさん勉強しているはずなのに成績が伸びない場合は「負荷不足」の可能性があります。基礎・基本レベルの問題を解けるようになったら、難しく感じる問題にも挑戦すること、演習量と難易度を少しずつ引き上げることにも取り組んでみてください。10kgが軽く感じられるようになったら迷わず15kgへ、それも軽く感じるようになったら20 kgへ。重いのは大変だからと負荷を増やしていかなければ、学力の維持はできても向上はありません。
楽に効果が得られるトレーニングといった都合の良いものは、残念ながら存在しないのです。
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