新・個別指導アシスト習志野校
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こんにちは。習志野市藤崎6丁目の新・個別指導アシスト習志野校です。
最近こちらのブログでは、千葉県公立高校入試の国語から興味深い物語をいくつかご紹介してきました。今回は少し視点を変えて、「大学入試」の現代文ではどのような文章が出題されているのか、大人の皆さんにもぜひ読んでいただきたいテーマをご紹介したいと思います。
取り上げるのは、「2000年度 上智大学法学部」の入試問題です。
「2000年なんて、随分と古い問題を扱うのだな」と思われるかもしれません。しかし、大学受験における第一志望校の対策では、過去問は「可能な限り遡って取り組む」のが鉄則の一つです。流行りのテーマが変わっても、その大学が受験生に求める「思考の深さ」や「物事を見る枠組み」は、何十年経っても根底でつながっているからです。
ノーベル賞候補の経済学者が突きつけた現実
さて、この年の上智大学で出題されたのは、日本を代表する経済学者である岩井克人(いわい かつひと)氏の文章『21世紀への設計図』でした。
岩井氏は、かつてノーベル経済学賞の候補としても名前が挙がった世界的レベルの研究者です。当時の経済学の主流であった「市場は放っておけば自然と安定する」という常識に対し、「いや、世の中は常に不安定で、釣り合っていないのが当たり前だ」と正面から異を唱えたことで知られています。
この岩井氏の理論が「現実の社会を正しく言い当てていた」と歴史的に証明されたのが、あの2008年の「リーマンショック(世界金融危機)」でした。多くの専門家が予測できなかった市場の暴走を、彼の理論は構造的に説明することができたのです。
「契約」と「信任」という2つのルール
そんな圧倒的な実績を持つ岩井氏ですが、数式だけでなく、言葉を使って「会社とは何か」「社会のルールはどうあるべきか」をわかりやすく紐解く思想家としても高く評価されています。入試で出題されたのも、まさにそうしたテーマの文章でした。
岩井氏は本文のなかで、社会の人間関係を「契約」と「信任(しんにん)」という2つに分けて説明しています。
契約関係: お店での買い物のように、自由で「対等な」個人同士が、お互いの利益のために結ぶ関係。
信任関係: 患者と医師、または会社と役員のように、知識や能力に「大きな差」があり、一方が他方に大切な判断や利益を委ねる関係。
かつての社会は、身分制度から解放され、誰もが対等な「契約」を結べる社会を目指してきました。しかし現代は、物事が高度に専門化・複雑化しています。法律、医療、あるいは法人経営など、専門知識を持たない私たちが、圧倒的な力を持つ専門家に「信任」して身を委ねなければならない場面がどうしても生じます。
だからこそ、これからの社会は対等な「契約」だけでは不十分であり、弱い立場の人を守るために、専門家に重い倫理観や法的義務を課す「信任」のルールを柱に加えなければならない、と岩井氏は説いているのです。
18歳に突きつけられる社会のリアル
この文章が書かれたのは20年以上も前ですが、ブラックボックス化されたAIなどの複雑な技術に私たちが多くを依存している今の時代にこそ、より深く響く内容ではないでしょうか。
大学入試の現代文では、単なる言葉の暗記ではなく、「これからあなたたちが生きていく社会は、こういう複雑な構造をしている。さあ、どう読み解く?」という、大人からの真剣なメッセージが込められています。高校生たちは試験本番の張り詰めた空気のなかで、こうした重厚なテーマと格闘しているのですね。
家事や仕事の合間に飲むコーヒーのように、たまにはこうした入試問題を通して、世の中の仕組みについて少し立ち止まって考えてみるのも、大人の私たちにとって新鮮な気分転換になるのではないでしょうか。
※補足とおことわり 本記事での紹介は、あくまで「入試問題として切り取られた一部分」から読み取れる内容に基づいています。作問者の意図によって一部が抽出されているため、実際の作品全体が持つテーマやメッセージとは異なる場合があります。ご興味を持たれた方はぜひ、岩井克人氏の実際の著作を手に取って、その深い知見をお確かめください。
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