次のテストで「〇点、〇位を取ったらゲームを買ってもらえる」のような話をよく聞きます。逆に「点数が悪かったらお小遣いをもらえなくなる…」のような話もたまに聞きます。
一方で、保護者の方から「ご褒美を与えてはいけない」と聞いたけど本当か?という質問をいただくこともあります。
今回は「勉強のご褒美」について、改めて考えてみたいと思います。
◆ご褒美には4種類ある
まずは「ご褒美」の種類を整理してみます。正と負、言葉と物質で区別すると次のように分けることができます。
正の言葉かけ「すごいね」「よくできましたね」
負の言葉かけ「できなかったね」「やらなかったね」
正の物質「ジュースを買ってあげる」「シールをあげる」
負の物質「マンガ没収」「ピアノをやめさせる」
ご褒美を与えることで、一時的に効果を発揮することが期待できますが、弊害もあります。
好奇心で楽しく取り組んでいたことも、ご褒美をもらえることで、ご褒美を獲得することが目的になってしまいます。
ご褒美を与えることで、かえってパフォーマンスが落ちることをアンダーマイニング効果と言います。
「ご褒美を与えてはいけない」と主張する方の論拠を見ると、意識的か無意識かはさておき、ほとんどの人がこの「アンダーマイニング効果」をもとにして話をしています。
◆アンダーマイニング効果
昔は、報酬を与えることで「やる気」は高まると考えられていました。しかし、1970年以降、Deciをはじめとする学者たちの研究により、
物的報酬が与えられなくなったり、報酬に満足できなくなると、余計にやる気が低下してしまうことが確認されています。
・Deciの実験
大学生が課題を解く際に、金銭報酬を与えたところ、アンダーマイニング効果が見られました。
初めから意欲を持っていた学生に金銭報酬を与えたところ、さらに意欲的に取り組んだものの、
報酬をもらえなくなると当初よりもやる気を失ってしまうことがわかったのです。
・Lepper, Green, Nisbettの実験
Deciの実験と同じことを幼稚園児に試した実験です。幼稚園児には金銭の代わりに「賞状」を与えてみたところ、大学生の実験と同じような結果になりました。
◆ご褒美がやる気低下を招く前提条件
アンダーマイニング効果が発生してしまう条件は以下のとおりです。
①行動の前に報酬を与えると予告している
②報酬は実際に行動をしたら与える
③報酬を与える前から、その行動自体が面白い行動である
④報酬は物質であって言語ではない
この4つの条件を満たしていることが、アンダーマイニング効果の前提条件です。勉強に関して当てはめてみると、次のことが分かります。
・意欲的に勉強に取り組んでいる子供に更に頑張らせようとご褒美を与えてはいけない。
・もともとやる気のない子供に関しては(少なくともご褒美に満足してくれる間はやる気になってくれると考えれば)ご褒美は効果がある。
・ただし、どちらの場合も「ご褒美がなくなる」「ご褒美に満足できなくなる」と効果は下がる。
【関連ニュース】
②「勉強のご褒美」の種類と効果
③勉強の目的は何か?
④こんな「ご褒美」が子供のやる気を奪う
⑤とにかく勉強させる!
(参考文献)
・Deci, E.L. 1971 Effiects of externally mediated rewards on intrinsic motivation. Journal of Personality and Social Psychology.
・Lepper, M.R. and Greene, D. & Nisbett, R. 1973 Undermining children's intrinsic interest with extrinsic reward: A test of the "overjustification" hypothesis. Journality and Social Psychology.
・鹿毛雅治 1995「内発的動機づけと教育評価」風間書房
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