前回、勉強のご褒美は短期的には効果が得られるものの、ご褒美が無くなったり、ご褒美に満足できなくなるとやる気が低下するアンダーマイニング効果について確認をしました。

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ただし前回ご紹介したのは、金銭など物質的なご褒美によって得られたら効果を観察した実験でした。そこで今回は、ご褒美の種類ごとの効果の違いについて測定をした日本の実験をご紹介します。


◆松田 文子・大宮 俊恵「漢字ゲームの実験」
小学2、3年生の児童に漢字ゲームをやらせて学習意欲を測定した実験があります。


子供たちを次の４つのグループに分けて、作業量により報酬の効果を測定しました。また、最終日にご褒美を与えることをやめた時の効果も測定しています。


〈実験のやり方〉
1 日 目 ：ご褒美なしの作業量を測定
2～4日目：作業量に応じてご褒美を与え、ご褒美の効果を測定
5 日 目 ：報酬を与えることをやめ、その場合の作業量を測定


◆4つのグループと実験結果

・言語による報酬
淡々と「よくできました」～「少しできましたね」の言葉かけをしたグループ

〈ご褒美を与えている間の作業量〉
少し上昇
〈ご褒美を止めたあとの作業量〉
1日目と同等（元に戻った）



・賞状（物質）を渡したグループ
淡々と「よくできました」～「少しできました」の賞状配布

〈ご褒美を与えている間の作業量〉
大きく上昇
〈ご褒美を止めたあとの作業量〉
1日目より減った



・賞賛したグループ
達成度別に感情をこめて言語＋身体接触によるご褒美

〈ご褒美を与えている間の作業量〉
大きく上昇
〈ご褒美を止めたあとの作業量〉
1日目より減った



・統制グループ
ご褒美を与えないグループ。

実験中は変化なし



◆この実験からわかること
・「ご褒美を続けられるか分からない」なら「言語による報酬」が無難。
・お金を掛けて物質（賞状）を与えなくても、称賛するだけでも同等の効果が見込める
・中途半端にご褒美を与え、途中でやめてしまうと学習意欲が大きく低下する。


◆ご褒美の与え方
☆ご褒美を与えるのであれば、与え続けることが必要です。

☆高額なご褒美を与え、継続ができなくなると、かえって子供の学習意欲の低下を招くリスクがあります。

☆小学生、特に低学年は、賞賛や大してお金の掛からないご褒美でも効果が期待できるためコスパが抜群です。


（参考文献）
・大宮 俊恵, 松田 文子 「 児童の内発的動機づけに及ぼす教師の外的強化の効果」, Japanese jpunal of Educational Psychology, 1987, 35.

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